「“普通”がしんどかった中学時代 〜部活動編〜」
中学に入って、息子は陸上部に入った。
本人なりに、「変わりたい」「頑張ってみたい」そんな気持ちがあったんだと思う。
だけど――
中学生ともなると、部活動の空気が一変する。
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顧問の先生、3人。
これがまた、めちゃくちゃ厳しい。
毎回ある「全体指導」は、
列を乱すな、姿勢を崩すな、体育座りから1mmも動くな――のオンパレード。
しかも、その指導がとにかく長い。
30分、平気でやる。
正直、大人の私でも耐えられないと思う。
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でも、ADHDの息子にとっては、もう完全に地獄。
体をじっとさせることが苦手で、
注意を維持するのが難しくて、
「言われた通りに、静かに待つ」なんて無理な話。
もちろん、入部前に顧問には特性の説明はしていた。
「注意欠陥があり、姿勢保持や集中が難しいことがあります」と。
でも――
理解、ゼロでした。
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部員全員の前で、顧問の怒声が飛ぶ。
「おい!またお前だけ動いてるぞ!」
「何回言ったらわかるんだ!集中しろ!」
「お前のせいで、部員全員に迷惑がかかってんだぞ!」
公開処刑。人格否定。自己否定。
その言葉に耐えきれなくなった息子は、
ある日、部活を抜け出して家まで走って帰ってきた。
泣きながら。
悔しさと恥ずかしさと、混乱で、ぐちゃぐちゃになって。
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その後すぐに、顧問から電話があった。
「〇〇君、逃げましたー」
「帰宅されたらご連絡くださーい」
……は?それだけ?
“逃げました”って、何その言い方?
こっちはただの“部活抜け”なんて思えない。
衝動的な行動が、何につながるか分からないのに。
途中で道に飛び出してたら?
事故にあってたら?
誰かとトラブルになってたら?
そう思うと、背筋が凍った。
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ここから、私と息子の辛すぎる部活動生活が始まった。
行きたいのに、行けない。
やりたいのに、できない。
周りと同じようにしたいのに、怒られる。
自分を責める。
でも、変われない。
顧問の言葉が刺さり、
毎日毎日、息子の心は削られていった。
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この部活の出来事がきっかけで、
息子は「自分はダメな人間だ」と思い込むようになった。
でも、私は知ってる。
彼は本当に頑張ってた。
“普通”に合わせようと必死だった。
できない自分を、変えたくて、努力していた。
でも、“普通”のルールしかない世界では、
彼の頑張りは、「迷惑」としか見られなかった。
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次回予告:
🟠第9話「母の本気の訴え。学校とのギリギリの戦い」