🟠長男伝説シリーズ第3話

「デート代どうする問題 〜通帳の中は空っぽです〜」

彼女ができた息子。

もうね、脳内はピンク色のモヤで満たされてるのが見える。

が、しかし。

現実は甘くない。

遊ぶにも、プレゼントにも、ラーメン食うにも、お金がいる。

そして我が家の長男。

当然のように通帳はスッカラカン。

なんなら「何円入ってるか知らんけど、なんとかなるっしょ」って顔してた。

うん、ならんよ。

でもある日、事件が起きた。

部屋から聞こえる、

「はい、よろしくお願いいたします」「シフトは融通ききます」的な声。

え?誰?って思ってのぞいたら――

なんと、ラーメン屋のバイト、オンライン面接中。

自分の部屋で、きちんと座って、ちゃんと敬語。

こっちがびっくりだよ!

やればできるやつじゃん…。

そして数日後、

「受かった〜!」とニヤつく長男。

「もうシフト出した!」

「来週から研修!」

うおお、すごい勢い。

ってか早すぎん?

彼女のための行動力、ハンパないな。

そして研修初日――

帰宅した息子、なぜか静か。

「どうだった?」って聞くと、

「……めっちゃ緊張した。でも頑張った」ってポツリ。

なにそれ、かわいい。

で、ランドセルぶりに見たよ。

**“バイトノート”**と称された、びっしり手書きのメモ帳。

もうね、丁寧な字で「盛り付け手順」「麺の湯切り」「接客の一言目」…

すっごいちゃんと書いてるの。

この子、字が綺麗だったんだなって久々に思い出した。

「彼女に恥かきたくない」

「ちゃんとしてるとこ見せたい」

その一心で頑張ってる息子の背中に、

私はちょっと感動すらしてしまった。

お金のため。

だけど、それだけじゃない。

“誰かを大事に思う”って、こんなにも力になるんだな。

でも一応、母としては言っておくよ。

「ラーメン屋のまかないばっかり食べて、

彼女とデートで“またラーメン”って言わないようにね!!」

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