🟡長男伝説シリーズ 第8話

“普通”がしんどかった中学時代」

あの頃の朝は、

とにかく起きられなかった。

アラームをかけても、

声をかけても、

二度寝、三度寝、無反応。

週に4日、遅刻。

行ったとしても、なんとなく浮いていた。

無理してるのが分かった。

障害者手帳の申請も、考えた。

でも本人は断固拒否。

「そんなもん、いらん」

「障害者って言われたくない」

「偏見の目で見られる」

自分の特性を、まだ受け入れられていなかった。

病名の意味も分かっていなかった。

退院のときに交わした「これから頑張る」っていう約束も、

ただの言葉でしかなかった。

指示が入らない。

話は聞いてるようで、聞いてない。

「はいはい」は口癖。

でも全然「はい」じゃない。

勉強?最低限。

テスト直前でも、YouTubeとゲーム三昧。

「やる気がないんじゃない」

「やり方が分からない」

「集中できない」

それも分かってる、でも限界だった。

門限は守れない。

「友達の家にいる」と言って出かけて、帰宅は21時。

「喉が痛い」「頭が痛い」と学校を休んだ日に、

なぜか公園で友達と遊んでいる姿が目撃される。

「は?」としか言えない。

物欲は止まらない。

欲しいものは、すぐ言う。

でも買えないと言うと、

「バイトして返すから!」

「借金でもいいから買って!」

「一生のお願い!」

……バイトしてないやん。

金銭感覚はゼロ。

いくら使ったかも覚えてない。

Suicaの残高が気づいたらゼロ。

課金してるつもりなくても、なぜか引き落とされてる。

物も大切にしない。

自転車はガシャン!と倒して、注意すると逆ギレ。

「別に壊れてもいいし」

その態度に、母ブチギレ。

そして一番、つらかったのは――

妹へのあたり。

「うざい」

「バカじゃね?」

「なに頑張っちゃってんのw」

妹が一生懸命やっていることを、

バカにして、笑って、否定した。

私が止めても、響かない。

この時期、

私は毎日怒って、

毎日泣いて、

毎日不安だった。

「この子はこの先どうなっていくんだろう」

そう思いながら、毎日をなんとか乗り切っていた。

でも今思う。

あの時期があったから、

今、少しずつでも前に進めてるんだと。

「普通」がしんどかっただけ。

「周りと同じ」が苦しかっただけ。

それに気づくのに、私も、息子も、時間がかかった。

次回予告:

🟠第9話「普通がしんどかった中学時代~部活動編~」

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