🟡長男伝説シリーズ 第9話

“普通”がしんどかった中学時代 〜部活動編〜」

中学に入って、息子は陸上部に入った。

本人なりに、「変わりたい」「頑張ってみたい」そんな気持ちがあったんだと思う。

だけど――

中学生ともなると、部活動の空気が一変する。

顧問の先生、3人

これがまた、めちゃくちゃ厳しい。

毎回ある「全体指導」は、

列を乱すな、姿勢を崩すな、体育座りから1mmも動くな――のオンパレード。

しかも、その指導がとにかく長い。

30分、平気でやる。

正直、大人の私でも耐えられないと思う。

でも、ADHDの息子にとっては、もう完全に地獄。

体をじっとさせることが苦手で、

注意を維持するのが難しくて、

「言われた通りに、静かに待つ」なんて無理な話。

もちろん、入部前に顧問には特性の説明はしていた。

「注意欠陥があり、姿勢保持や集中が難しいことがあります」と。

でも――

理解、ゼロでした。

部員全員の前で、顧問の怒声が飛ぶ。

「おい!またお前だけ動いてるぞ!」

「何回言ったらわかるんだ!集中しろ!」

「お前のせいで、部員全員に迷惑がかかってんだぞ!」

公開処刑。人格否定。自己否定。

その言葉に耐えきれなくなった息子は、

ある日、部活を抜け出して家まで走って帰ってきた。

泣きながら。

悔しさと恥ずかしさと、混乱で、ぐちゃぐちゃになって。

その後すぐに、顧問から電話があった。

「〇〇君、逃げましたー」

「帰宅されたらご連絡くださーい」

……は?それだけ?

“逃げました”って、何その言い方?

こっちはただの“部活抜け”なんて思えない。

衝動的な行動が、何につながるか分からないのに。

途中で道に飛び出してたら?

事故にあってたら?

誰かとトラブルになってたら?

そう思うと、背筋が凍った。

ここから、私と息子の辛すぎる部活動生活が始まった。

行きたいのに、行けない。

やりたいのに、できない。

周りと同じようにしたいのに、怒られる。

自分を責める。

でも、変われない。

顧問の言葉が刺さり、

毎日毎日、息子の心は削られていった。

この部活の出来事がきっかけで、

息子は「自分はダメな人間だ」と思い込むようになった。

でも、私は知ってる。

彼は本当に頑張ってた。

“普通”に合わせようと必死だった。

できない自分を、変えたくて、努力していた。

でも、“普通”のルールしかない世界では、

彼の頑張りは、「迷惑」としか見られなかった。

次回予告:

🟠第9話「母の本気の訴え。学校とのギリギリの戦い」

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