「“普通”がしんどかった中学時代」
あの頃の朝は、
とにかく起きられなかった。
アラームをかけても、
声をかけても、
二度寝、三度寝、無反応。
週に4日、遅刻。
行ったとしても、なんとなく浮いていた。
無理してるのが分かった。
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障害者手帳の申請も、考えた。
でも本人は断固拒否。
「そんなもん、いらん」
「障害者って言われたくない」
「偏見の目で見られる」
自分の特性を、まだ受け入れられていなかった。
病名の意味も分かっていなかった。
退院のときに交わした「これから頑張る」っていう約束も、
ただの言葉でしかなかった。
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指示が入らない。
話は聞いてるようで、聞いてない。
「はいはい」は口癖。
でも全然「はい」じゃない。
勉強?最低限。
テスト直前でも、YouTubeとゲーム三昧。
「やる気がないんじゃない」
「やり方が分からない」
「集中できない」
それも分かってる、でも限界だった。
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門限は守れない。
「友達の家にいる」と言って出かけて、帰宅は21時。
「喉が痛い」「頭が痛い」と学校を休んだ日に、
なぜか公園で友達と遊んでいる姿が目撃される。
「は?」としか言えない。
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物欲は止まらない。
欲しいものは、すぐ言う。
でも買えないと言うと、
「バイトして返すから!」
「借金でもいいから買って!」
「一生のお願い!」
……バイトしてないやん。
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金銭感覚はゼロ。
いくら使ったかも覚えてない。
Suicaの残高が気づいたらゼロ。
課金してるつもりなくても、なぜか引き落とされてる。
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物も大切にしない。
自転車はガシャン!と倒して、注意すると逆ギレ。
「別に壊れてもいいし」
その態度に、母ブチギレ。
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そして一番、つらかったのは――
妹へのあたり。
「うざい」
「バカじゃね?」
「なに頑張っちゃってんのw」
妹が一生懸命やっていることを、
バカにして、笑って、否定した。
私が止めても、響かない。
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この時期、
私は毎日怒って、
毎日泣いて、
毎日不安だった。
「この子はこの先どうなっていくんだろう」
そう思いながら、毎日をなんとか乗り切っていた。
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でも今思う。
あの時期があったから、
今、少しずつでも前に進めてるんだと。
「普通」がしんどかっただけ。
「周りと同じ」が苦しかっただけ。
それに気づくのに、私も、息子も、時間がかかった。
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次回予告:
🟠第9話「普通がしんどかった中学時代~部活動編~」